さて少しさかのぼって中日の風景。
お祭り広場のステージでは様々なイベントが開催され大いに盛り上がる中、からくり屋永匠堂は出店のチーズベーコン串を堪能。
なんか八戸三社大祭でしか食べられないような肉メニューがあればいいのになぁと思いつつベーコンの厚さと焦がしチーズの魅力に屈し、最近のお祭り出店スタンダードメニューを選んだのでした。
しかし頭上では稲光と鳴り響く雷鳴。
これは来そうだななぁ…なんて他の山車組の方と世間話したりしつつ出発の時を待ちます。
そうこうしている間になんだか晴れ間が見え始め、出発の18時には夕焼けも見えて山車行列は快調にスタート!
今年の三社大祭、お通りでは強風のためせり上がり禁止令が出されましたので、山車が動きながら仕掛けを上げるのはこの中日が初ということになりました。
普段はの~んびり楽しめる中日。
しかしこの緊張感の一日延期によってスタート時ののんびり感は全くなしです。
前夜祭で観客の皆さんの前で仕掛けを上げてはいますが、前夜祭は「まあ10分以内くらいに仕掛けが全開になればいいや」という空気があります。
しかしお通り、中日、お還りの運行中の仕掛けあげは、その瞬間に上げないとその場でご覧になっている方に見て頂くことができません。通り過ぎちゃいますからね。
そういった意味で、例年であればお通りでの、今年であれば中日での一発目の仕掛け上げは前夜祭と緊張感が違うのです。
市役所前からスタートした山車は三日町交差点を左に曲がり、そんな緊張感いっぱいの一発目の仕掛け上げの場、ダイワロイネットホテル前に差し掛かります。
さあいくぞ!と声をかけ、回転舞台と引き出し舞台を全開。
まずは中段せり上がり。
今年の十六日町山車組の山車において最も目立つ特大龍。
この巨躯がズズズズッと上がっていくとともに、左右の中サイズの龍が左右上方へと飛び立っていきます。
次に主役背景起き上がり(パタンコ)。
中段の特大龍の背景に、雷雲がむっくりと起き上がってきます。
雲の両脇には舞い落ちるお経。梵字と漢字を組み合わせて真言宗の経文が書かれています。
そして回転舞台のせり上がり。
左右の回転舞台に配置した倶利伽羅(クリカラ)がシュコッと上がります。
これで主役登場の準備が整いました。
最後に上段せり上がり。
主役背景起き上がりごと上段がせり上がり、雷雲の中央に主役の鳴神上人が登場!
主役が上がりきった瞬間に背景の雲から伸びた稲妻がビカビカっと光ります。
よし!全部上がった!
とりあえず一安心。
十六日町山車組の山車は見事全ての仕掛けを上げることが出来ました。
10mの高さまで大きくなった各山車組の山車がたくさんの拍手をもらいながら通り過ぎていきます。
こうして順調にスタートした山車行列。
周囲はかなり暗くなり、十六日町山車組の山車がホームである十六日町を通過する頃、夜空に響く轟音。
また雷が鳴り始めました。
鳴神の山車としては雷鳴轟く状況はとてもいい演出ですが、お祭りとしては雨はゴメンです。
十六日町山車組が廿六日町、神明宮の前に差し掛かった時でした。
行列の前方からバラバラバラバラっと突然の銃撃のように大粒の雨が襲いかかり、旗持ちからジャンガラ、引き子、山車と順に豪雨の中に包んでいきました。
うおおぉぉぉぉおおお!
きたきたきたきた!
と、大慌てで大太鼓と小太鼓にビニールをかける半纏衆。
突然の出来事で結構濡れてしまったような気がしますが、なんとかビニールをかけ終わり綱の方を振り返ると…。
誰もいねえ!?
なんと引き子が誰もいない。
例年から中日は参加者が多いのですが、さらに日曜日ということもありたくさんいた引き子。
それが地面に横たわった綱だけを残し忽然と姿を消していたのでした…。
と思ったらなんと!
廿六日町の住民の方々が、自分の家の玄関先や見物のために張っていたテントに十六日町山車組の引き子を必死に呼び込んで下さり、小さな子供たちもあまり濡れずに済んだのでした。
本当にありがとうございます!
廿六日町の皆さんの温かさに感動しました。
また神明宮の御神木、イチョウの大木の木陰で雨宿りしている人もいました。
こうして待つこと数分。
急に降り始めた雨でしたが止むのも急で、あれ?小降りになったなと思ったらさっとあがりました。
それでも半纏衆と子供を優先的に守った大人たちはずぶ濡れ。
重くなった半纏とビチャビチャの足袋。
まさかここで来るとは…。
しかし、しかしですよ!
ここでからくり屋永匠堂は気付いたのでした。
最高神でおわす天照大御神を祀る神明宮の前で雷鳴が轟き豪雨が降る。
これは…!
三者祭神や七福神などの神々を題材とした山車に十六日町山車組の山車「鳴神」が勝ったのでは!?(強引)
ムリヤリ一矢報いたってことにする十六日町山車組のうちでも極一部のメンバー。
もちろん賞には絡んでおりません。
祭りや縁起物なんてこうやってコジツケて楽しむもんですよね(笑)
さて、気を取り直して再スタート!
メガネの雨粒を拭いて前進です!
このあとは雨がふることもなく、無事に大通りへと舞い戻り仕掛けを上げては拍手を頂き、再度十六日町を通り抜けて小屋へと戻ったのでした。
突然の豪雨に見舞われた中日の夜間運行。
観客の皆さんも大変な目に合われたかと思いますが、お通りの日にはご披露できなかった山車の全開状態をご覧いただけましたでしょうか?
来年は5日間全て晴れますように!
さあみなさんも神明宮お参りしましょうね(笑)
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