2015年(平成27年度)八戸三社大祭のチラシが公開され、今年も27台の山車の題名と場面が出揃いましたのでご紹介します。
神明宮
【廿六日町山車組】 西塔鬼若丸
鬼若丸(おにわかまる)とは武蔵坊弁慶(むさしぼうべんけい)の幼名で比叡山延暦寺(ひえいざんえんりゃくじ)西塔(さ いとう)に稚児として預けられ、西塔鬼若丸と名乗っていた。鬼若丸は手がつけられないほどの荒れくれ者で他の僧達 も困り果てていたが、日ごろから人々を困らせていた大鯉を単身で池に飛び込み短刀一つで見事に退治した。 後に武蔵坊弁慶と名乗り、源義経(みなもとのよしつね)の家来として仕え生涯を共にした。
【新荒町附祭若者連】 ~関ヶ原の戦い~ 乾坤一擲 島津義弘敵中突破
関ヶ原の戦いで体勢が決し、石田三成(いしだみつなり)ら西軍が総崩れとなり敗走を始め、島津義弘率いる島津軍も 敵に囲まれてしまう。西軍の軍勢が逃げ惑う中、島津軍は敵陣へ正面から突っ込み、決死の敵中突破を敢行する。
【上組町若者連】 虎牢関の戦い
連合軍に参加した劉備(りゅうび)三兄弟の次男にあたる関羽(かんう)が呂布(りょふ)に一騎打ちを挑んだ。呂布も強 かったが、関羽もそれに匹敵するほどの強さを見せ、互角の戦いとなる。そこに劉備、張飛(ちょうひ)が加わり、疲れを 見せ始めた呂布を撤退させた。
【根城新組山車組】 九郎義経 鵯越逆落 一ノ谷合戦の場
一ノ谷(いちのたに)を臨む鵯(ひよどり)越えの崖がそそり立つ。この鵯越えは平氏の陣の真上にあたる。この崖の上か らまっ逆さまに攻撃をかける。獣が下れて馬に下れぬはずはない。平氏の連中は天から源氏の軍が降ってきたと驚く ぞと言い、義経は30騎を連れて崖を降りていく場面。
【賣市附祭山車組】 西遊記
三蔵法師(さんぞうほうし)が白馬に乗り、孫悟空(そんごくう)、猪八戒(ちょはっかい)、沙悟浄(さごじょう)を従えて、多く の苦難、事件を解決し、天竺(てんじく)へ取経(しゅけい)を目指す為の物語で、その中から芭蕉扇(ばしょうせん)を巡っ て戦う牛魔王(ぎゅうまおう)の話と、金角(きんかく)・銀角(ぎんかく)との戦いの話を山車で表現する。
【吉田産業グループ山車組】 義経北行伝説「蝦夷渡海」
平泉では死なず北を目指す義経主従(しゅじゅう)。三陸沿岸、数多く伝説の残る八戸を北上し、三厩(みんまや)にたど り着くと荒れ狂う竜飛(たっぴ)の海は、義経達の行く手を阻んだ。義経は三日三晩お守りの観世音菩薩(かんぜおんぼ さつ)に祈願すると、満願の夜、白髪の翁が現れ三頭の竜馬(りゅうめ)を授けられる。また自らの兜を海神(わたつみ)に 奉納し、渡海の無事と安全を祈り、蝦夷ヶ島(えぞがしま)へ旅立った。山車は、常磐御前(ときわごぜん)、静御前(しずか ごぜん)、北の方(きたのかた)に見守られ、観世音菩薩、海神の加護により竜馬に乗って蝦夷ヶ島へ旅立つ義経主従の 場面を創作した。
【白山台山車組】 毛利元就 厳島神社戦勝祈願
戦国最高の知将と呼ばれた毛利元就が、安芸(あき)の小大名から中国地方の覇者になるまでの中で、大きな転機の 1つに1555年10月16日「厳島(いつくしま)の戦い」がある。この戦いは織田信長(おだのぶなが)の桶狭間(おけはざま) の戦いに並ぶ「日本三大奇襲(きしゅう)」の1つで、陶晴賢(すえはるかた)の軍勢3万に対し、毛利元就の軍勢4千と圧 倒的な兵力差だったが、得意の知略や、伊予(いよ)の村上吉武(むらかみよしたけ)率いる村上水軍の加勢もあり、見事 勝利する。その後、元就は厳島神社を崇拝し、度々合戦前に戦勝祈願に訪れている。 山車の場面は毛利元就が戦勝祈願に厳島神社を訪れ、素戔嗚尊(すさのおのみこと)と天照大御神(あまてらすおおみ かみ)との誓約(ウケイ)により生まれた厳島神社の祭神「宗像(むなかた)三女神(さんじょじん)」から雅楽を披露しても らい、加護を受ける場面と合戦での勇壮な場面を組み合わせました。
おがみ神社
【塩町附祭組】 大漁を与ふ天照皇大神と七福神
下段展開左右に船の上から大黒天(だいこくてん)・毘沙門天(びしゃもんてん)・寿老人(じゅろうじん)・福禄寿(ふくろく じゅ)が網にかかった鯛を引き上げ、恵比寿天(えびすてん)が一本釣りで大きな鯛を釣りあげる場面です。中段には弁 財天(べんざいてん)が琵琶を奏で、布袋尊(ほていそん)が杯を持ち大漁を喜んでいる場面です。上段(主役)は天照皇 大神(あまてらすおおがみ)が天空から七福神たちの様子を見守り、大漁を祝福している場面です。
【下大工町附祭】 源平合戦 倶利伽羅峠
木曽義仲(きそのよしなか)は別名源義仲(みなもとのよしなか)ともよばれています。1183年、現富山県と石川県の境に ある倶利伽羅峠で平維盛(たいらのこれもり)率いる 10万の兵と義仲征伐軍(せいばつぐん)5万兵と激突。兵力半分の 義仲軍は、数百頭の牛の角に松明を括り付けた群を、峠から駆け抜けさせる夜襲を仕掛けます。 逃げ場を失った平家軍は次々と谷底に落ち、一夜にして10万の兵をわずか2万の兵にまで激減させた場面です。
【下組町山車組】 知盛怨霊顕る 摂州大物浦難風の場
平家を壇の浦(だんのうら)で滅ぼしたのち、兄頼朝(よりとも)の不興を買ったために追われる義経一行の船が大物浦 (だいもつうら)沖で平家の亡霊に遭い、波浪がドクロとなって船を襲い、行手を阻まれている場面。 山車前方に襲われている義経一行、後方にはドクロとなった波浪亡霊となった平家一門を表現しています。
【内丸親睦会】 石川 五右衛門
源義経(みなもとのよしつね)が海を渡ってチンギスハンになったという伝説と同じような「御曹司島渡り(おんぞうししま わたり)」物の骨格を取り入れた新説。五右衛門が中国大陸に渡って清(しん)の太祖(たいそ)ヌルハチに代わって大活 躍するという物語の場面。上段は臥龍城(がりゅうじょう)で名ゼリフ「絶景かな」と唱える場面。下段は五右衛門とワン ハンが橋上で激しく戦う場面。
【柏崎新町附祭】 京劇 白蛇伝
白蛇伝は美しい女性に姿を変えた白蛇の精白素貞(はくそてい)が若者許仙(きょせん)との愛を法海禅師(ほうかいぜ んし)に引き裂かれ、ついには雷峰塔(らいほうとう)に鎮められるという禁じられた愛の物語です。山車は主役を白蛇の 精白素貞に、各場面を凝縮し表現。 妹の青蛇の精小青(しょうせい)、夫の許仙ら水族たちを配置し、相手役には法海禅師ら天上の神々等。さらに白蛇青 蛇を配置し、京劇の華やかさと舞台になる水上や金山寺での闘いがみどころ。
【淀山車組】 初夢・七福神
恵比寿(えびす)・大黒天(だいこくてん)が船に乗り大きな鯛を釣りあげ浜の大漁を祝い、布袋和尚(ほていおしょう)・福 禄寿(ふくろくじゅ)・毘沙門天(びしゃもんてん)・寿老人(じゅろうじん)・弁財天(べんざいてん)達が豊年満作、家内安 全、商売繁盛の福を寿ぎ祝宴を開いている場面を独自に創作いたしました。八戸の発展を祈願した山車です。
【城下附祭】 新釈 はなさかじいさん
昔々あるところに、心優しいお爺さんとお婆さんがおりました。川で一匹の白い仔犬を拾い、我が子同然に仲良く暮らし ておりました。ある日犬は畑の土を掘りながら「ここ掘れワンワン」と鳴き始める・・・。でお馴染の日本昔話・花咲爺さん をモチーフに山車を製作。花を咲かせるオチのある昔話の題材は、千手観音浄土信仰(せんじゅかんのんじょうどしん こう)を背景に日本中世末期以降に民間に普及したと云われている。上段には天界から心優しい爺さんと婆さんを見 守る犬の精になった愛犬「シロ」。中段には民間普及の背景となった千手観音を配置。そして下段には山車題材の背 景となった花咲爺さんの名場面「大判小判や宝物がざっくざく、ここ掘れワンワン」「枯れ木に花を咲かせましょう」「満 開に咲き誇った花々を見て感動し褒美を与えるお殿様一行」を製作した。
【新井田附祭振興会】 「祈り」天壌無窮 神々と遊ぶ十二支
山車全体に神々と十二支を配置。左右の展開部には、天と地に弓を入れる流鏑馬(やぶさめ)。山車中央に七福神と十 二支の動物達。七福神の「布袋(ほてい)様は朳(えんぶり)の烏帽子(えぼし)」「恵比寿(えびす)様は虎舞(とらまい)」「大 黒(だいこく)様は大神楽(だいかぐら)」とそれぞれ神々がまとい、十二支達と遊びます。山車の主役、天照大御神(あまて らすおおみかみ)は、父・伊耶那岐神(いざなぎのかみ)、母・伊耶那美神(いざなみのかみ)と共に地を見守り、近年の 様々な災害に負けないよう、見守っている場面としました。
【青山会山車組】 ~ 縁 ~ 出雲縁結び大社
旧暦十月に龍蛇神(りゅうだじん)を先導に八百万(やおよろず)の神々が男女を含め、物事すべてのご縁を結ぶため、出 雲大社にお集まりになります。山車は出雲大社の主祭神・大国主命(おおくにぬしのみこと)、日本最高神・天照大神(あ まてらすおおみかみ)を共に主役に配置し、向かって左展開中央には日本最古の夫婦神イザナギ・イザナミ、右展開中 央には安産のご利益を持つコノハナサクヤ姫、またその夫ニニギノミコトを配置し、山車全体で神々が木札に人名を書 き縁を結んでいる様子を表現しました。
【朔日町附祭】 八戸の守護 三社祭神と四神
三社大祭の御祭神である天照大神(あまてらすおおみかみ)(神明宮)、法霊大明神(ほうりょうだいみょうじん)(おがみ 神社)、新羅三郎義光(しんらさぶろうよしみつ)(新羅神社)の他に四方位を司る神獣(しんじゅう)である四神の青龍 (せいりゅう)(東)、白虎(びゃっこ)(西)、朱雀(すざく)(南)、玄武(げんぶ)(北)を加え、八戸を護る神々を全体に配置し、 八戸の平安と吉祥を、加えてユネスコ文化遺産登録を目指す三社大祭の繁栄を祈願した山車を製作しました。
【十一日町龍組】 八戸三嶋神社 宗像三女神~八戸の大漁を賀する~
八戸白銀三島上に鎮座する八戸三嶋神社に祀られている宗像三女神様(市杵嶋姫命(いちきしまひめのみこと)、多岐 理毘売命(たきりびわのみこと)、多岐都比売命(たぎつめひめのみこと))が主役です。三嶋神社の源義経(みなもとのよし つね)の北行伝説(源氏囲内(げんじかこいない)・法官様(ほうがんさま))が残ることを踏まえ、源義経及び武蔵坊弁慶 (むさしぼうべんけい)を加え、山車は宗像三女神様と源義経一行が「浜は大漁」となる様寿ぎ、共に祝福している場面。 また、山車下段では「浜は大漁」と宝船に乗った七福神が喜んでいる場面となります。
長者山新羅神社
【吹上山車組】 新竹取物語 なよ竹のかぐや姫
なよ竹の如く、しなやかに光り輝くかぐや姫が、満月の夜に月に帰る場面。別れを惜しむ翁(おきな)と嫗(おうな)に、帝 (みかど)と五人の求婚者。きらびやかな衣装をまとった月からの迎えを配したかぐや姫の創作山車。
【八戸共進会山車組】 龍虎の戦い川中島合戦
五度の対決となった上杉謙信(うえすぎけんしん)と武田信玄(たけだしんげん)の川中島(かわなかじま)の戦いで唯一 謙信と信玄の一騎打ちとなった場面を表現し二人の象徴である龍と虎を同じく場面に登場させた山車とした。
【糠塚附祭組】 桃太郎の鬼退治
桃太郎は鬼ヶ島に鬼退治に出かけ、旅の途中で犬、キジ、猿をお伴にし、鬼ヶ島に乗り込んで鬼を退治している場面。
【長横町粋組】 延平王 国性爺 和藤内
韃靼国(だったんこく)から明帝国(みんていこく)を取り戻す為、和藤内(主役)、老一官(ろういっかん)(父)、渚(なぎさ) (母)、呉三桂(ごさんけい)、錦祥女(きんしょうじょ)、小むつ(和藤内の妻)、太子(のちの永暦皇帝(えいれきこうてい))、 甘輝(かんき)将軍と共に住吉大神宮(すみよしのおおがみのみや)の化身大海童子(たいかいどうじ)、八大龍王(はちだ いりゅうおう)の化身の守護を受け、南京城へ攻め込み韃靼王の順治大王と裏切り者の李蹈天(りとうてん)を討ち果た す場面となる。上段は仙人が住む九仙山で大明国御先祖高祖皇帝(こうそこうてい)とその使者青田劉伯温(せいでん りゅうはくうん)、大明国二代目思宗皇帝(しそうこうてい)が碁を楽しみながら、実は碁盤は和藤内たちが奮戦する場面 を映す鏡となり、行く末を見守る二場面となっています。
【六日町附祭若者連】 桃太郎の鬼退治
桃から生まれた桃太郎。猿、犬、雉(きじ)を従えて、日頃人々を苦しめていた鬼がいる鬼ケ島にて鬼退治。 山車は、お馴染みの鬼ケ島での鬼退治。桃太郎とキビ団子をもらった猿・犬・雉たちが迫力ある鬼に立ち向かう場面。 六日町山車組としては、珍しいおとぎ話の山車となっている。
【類家山車組】 ユネスコ文化遺産登録祈願・八戸三社大祭・七福神の山車づくり
祭がユネスコ文化遺産登録されることを祈願し、大黒(だいこく)様を頭(かしら)に七福神たちが三神社の御祭神(ごさ いじん)の山車を作っています。人形、龍や馬、金具や飾り物などの取り付け、山車作り真最中の場面を作りました。山 車の上に山車を作るのでは無く、引かれて来る山車その物を製作している場面であり、360度どこから見ても山車製作 の場面となっております。この山車でユネスコ登録を祈願いたします。
【十六日町山車組】 「鳴神」~盟い破れて鳴る雷と化す~
歌舞伎十八番のひとつ「鳴神」の有名な場面を、山車だからこそできる大胆な構図と自由な想像性を取り入れ表現し ました。向かって左手前には色香で鳴神を惑わし見事封印を破った雲の絶間姫(くものたえまひめ)、右手前にその師 匠であり雷神不動北山桜(なるかみふどうきたやまざくら)に登場する陰陽師安倍清行(あべのきよゆき)、主役は演目終 盤で荒れに入り大いに見得を切る鳴神上人(なるかみしょうにん)を配置。解き放たれた龍神と鳴神の発する雷を各所 に配し、場面となる滝がダイナミックに山車全体を流れ落ちる構図としました。
【鍛冶町附祭若者連】 大物浦 怪士知盛
平家を倒した源義経(みなもとのよしつね)は、兄頼朝(よりとも)の不興をかったため摂津(せっつ)の国・大物浦(だいも つのうら)から西国へ逃れようとしました。ところが船出すると海が荒れて、総大将・平知盛(たいらのとももり)をはじめ、 壇ノ浦で死んだ平家の怨霊たちが出現。義経主従に襲いかかりました。義経一行はこれに応戦し、怨霊を撃退しまし た。五番目物(ごばんめもの)の能であり、新歌舞伎十八番としても有名な「船弁慶(ふなべんけい)」のクライマックスの 場。中央の平知盛をはさんで、右側の安徳天皇(あんとくてんのう)や平家一門が、向かって左の義経一行に襲いかか るダイナミックな山車です。
【八戸市職員互助会】 北方の神・毘沙門天・邪気を誅す~北行義経を守護する~
寅年、寅の日、寅の刻生まれの毘沙門天は、仏教では須弥山(しゅみせん)を守る四天王の一人で北方の守護神。 邪鬼(じゃき)を踏みつけている姿が有名です。また、七福神の一神(いっしん)でもあります。山車は、毘沙門天と息子の 五太子(ごたいし)が邪鬼(禍(わざわい))を退散させ、妻の吉祥天(きっしょうてん)が幸福を授ける一場面と、幼い頃か ら毘沙門天を信仰し、北へ向かうこととなった源義経(みなもとよしつね)。八戸の小田(こだ)に毘沙門天像を祀り、再び 北へ向かったと伝えられています。この二場面を合わせた山車としました。
また2015年の八戸三社大祭のチラシはこちら。
日程や運行経路などが詳しく載っています。
(八戸観光コンベンション協会のホームページより)
まだ引き子やお囃子などの参加者を募集している山車組もあります。
参加して一緒に盛り上がるもよし、観覧してじっくり山車の造形を味わうをもよし。
2015年の八戸三社大祭、一緒に楽しみましょう!
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