大改造 回転舞台 その1 2018年のGW明けはここから始まった 十六日町山車組の山車作り


息子に背泳ぎの腕の振り方を教えようとしたら、肩に違和感が残ったからくり屋永匠堂です、こんにちは。

普段やらないような動きをするときは要注意ですね…。


何をするにも準備運動が必要です。


さてさて。

今年、十六日町山車組の山車は前方回転舞台、通称「カイテン」を一新しました。

その様子をご紹介していきますね。

回転大改造
古い回転舞台を振り返る

GW明け、山車作りスタート。

約3ヶ月に及ぶ山車作りシーズンの開幕です。

旧回転の骨はこんな感じ

まずはとりかかったのが、昨年まで使っていた回転舞台の撤去作業。

古い回転の骨はこんな感じの造りでした。

この骨を作ったのは2012年。

6年間使ったことになります。

1.6mm厚の40×40の角パイプと31×31の角パイプを組み合わせたハシゴ状の構造です。

「とにかく軽く」という目標を持って作りました。

この目標は達成したつもりですが、反省点もいっぱいあります。

反省点① 筒状コロ

最初はこんな感じで筒状コロを使っていました。

この筒状コロ、耐荷重は1個で約2tと十分でしたが、回転半径が足りなかったようで左右のズレに耐えきれずベアリングが破損

その後別のローラーを使って数年使ってきました。

反省点② 角度調整機能

そしてネジ式の無段階角度調整機能

山車の回転は人形や飾りが乗ると重みにより沈み込みます。

根っこ部分だけで支えてますからね。

そこで角度調整機能を付けて、乗せる重さが変わっても角度を変えて回転が垂れ下がらないようにしました。

ところが、最初の2年位は角度を変えたりして使っていたのですが、結局はある程度「程よい角度」がわかったらその後はいじることもなく、数年間角度を変えませんでした。

しかも無段階調整である必要が全くないというのも反省点です。

足場用のジャッキとガス管32Aを使った造りでしたが、ジャッキのネジ径34mmに対しパイプの内径は35.7mm。この1.7mmの隙間がムダにガタを生んでしまう結果にもつながりました。

反省点③ 骨のネジレ

山車サイズの割にやたらと長めなのが十六日町山車組の回転です。

回転舞台の長さは3600mm、幅は900mmとコンパネ2枚分のサイズです。

この旧回転の骨を作ったとき、からくり屋永匠堂は長さばかりに気持ちが囚われていました。

山車作りで特に強度計算なんかはしていないっていうかそんなの不可能なので、物理的直感だけを頼りに「これくらいで持つだろう」のノリで作っていくわけですが、この時の直感はそう外れていたわけではなく、上にある写真の通り重さによって曲がるということはありませんでした。

ペラッペラの鋼材使ったんですけどね。

ところが、敵は長さではなく幅だったんです。

この旧回転の骨を作ったころを思い返すと、十六日町山車組の回転の盛り付けはいたってシンプル、とても軽くて無理のないものでした。

しかし「もっといい山車を」と思いながら作ってきた結果、年々回転の盛り付けも豪華になっていたようです。

2016年には向かって左回転、黒い馬にまたがった人形はハングオン状態で取り付けました。

2017年には左右回転に多めに人形が乗った上、龍や鳳凰の大きな飾りも付いています。

こんな感じで盛りは年々良くなっていったのですが、その豪華さによる負担が最も顕著に現れたのが、回転の骨のネジレでした。

つまり回転付け根は水平でも、先端部分が傾いてしまうようになったんです。

2017年には鉄筋をトラス構造で入れて補強したんですが、それでもネジレを抑えることはできず、この時点で骨の作り直しを決意したのでした。

反省点④ フルベアリング

そして4つ目の反省点は、全ての部分にベアリングを使ったこと。

このおかげで、何も載せていない状態なら小指一本で、山車完成状態でも人差し指だけで動かすことができました。勢いよく閉じる方向に押すと、最後まで閉じてさらに跳ね返ってきます。

ところが、この動きの軽さも良し悪しでした。

少し風が吹くと勝手に動いてしまうんです。

回転には動きの渋さも必要なのか…と、特に風の強い年は悩みました。

前夜祭や後夜祭なんかは、全開状態で固定するための「全開用ストッパー」も設置しなくてはならず、軽いということがメリットでもありデメリットでもある状態でした。

反省点⑤ 溶接箇所が多くてめんどくさい

そして5つ目はこれ。

ハシゴ状構造にしたおかげで、めちゃくちゃ溶接箇所が多い

そして相手はちょっと気を抜くとすぐに溶け落ちる1.6mm。

それはもう非常にめんどくさかったのを覚えています。

二度とこんなめんどくさい造りはしません。

反省点を次の骨へ

てことでこれらの反省点を踏まえて、次の骨を作っていきます。

その様子は次回ご紹介しますね。

 

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